千葉地方裁判所八日市場支部 昭和43年(ワ)147号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕被告小島忠は被告車(日野製八トン積トラック)を運転して千葉県船橋市方面へ出張し、その帰路被告会社に向かう途中同日午後八時四十五分頃、前照灯で進路前方を照射しながら時速約五十キロメートルで被告車(当時空車)を運転して県道上を西進し、本件現場近くに差しかかつたのであるが、当時同所附近は夜間でもあつたため人車の交通はほとんどなく閑散としており、路面も乾燥しており、特に進路前方の見通しを妨げるような障害物もなく、同被告は右道路左側部分(以下左右というのは、特記する場合を除き、すべて被告車の進行方向に向かつて左右の趣旨である。)を進行して旭中前バス停留所を通過したとき、自車の進路、すなわち右道路左側部分(原告車の進行方向へ向かつて右側部分)前方約七十メートルの地点を右道路左側端に沿つて対向して直進してくる訴外亡早野勝美塔乗の原告車(自動二輪車)を発見したが、咄嗟に同車が右道路左側(原告車の進行方向へ向かつて右側)の人家のいずれかに所用があつて停車するものと速断し、軽くブレーキを踏みやや右の方へハンドルを切りながら運転を続けたところ、原告車が予想に反して停車せず、依然として被告車の進路である該道路左側部分を対向して直進し続け、被告車に気づいた様子もなく、また容易に該道路右側部分へ転じようともしないため、にわかに危険を感じた同被告はさらに強くブレーキを踏みながらハンドルを右へ切り、被告車を右道路右側部分へ避難させようとしたところ、原告被告車間の距離が約十六メートルと接近したとき、突然原告車がハンドルを右へ切つて被告車の進路前方を斜めに横切るような形で右道路右側部分へ転じてきたため、同被告はあわてて急ブレーキをかけて急停車したが及ぼす、前記山口飼料店前附近の右道路右側部分被(被告車右前部衝突部分から右道路右側端までの距離約二メートル)で原告車が被告車の右前部附近に激突し、右早野勝美は路上に投げ出されて即死したこと
が認められ、他に右認定を左右するに足る証拠はない。
過失相殺
ところで前記認定した事実によると、本件事故の発生については、訴外亡早野勝美は交通法規に違反してその進行方向に向かつて道路の右側部分を通行し、しかも十分に進路前方を注視していなかつたために被告車の接近に気づかず、原、被告車間の距離が約十六メートルに接近したときいきなり被告車の直前を斜めに横断した過失が認められるのであつて、同人の右過失は本件事故による損害賠償額の算定にあたつて当然斟酌すべきものであり、而してその程度はおよそ六割とみるのが相当である。(松永剛)